燻ぶり、爛れる (頒布終了)

- 罹横丁

「……綺麗だ、と思う。光忠は焼けても格好良いんだな」
ふっと柔和に微笑まれ、息を呑む。目の奥がじんと熱くなった。大倶利伽羅の言葉はどれも予想すらしていなかったものばかりだ。胸中でかけてくれた言葉を反芻すると救われる気がした。顕現してから今日まで卑下し、隠し続けていたのが莫迦らしくなるほどに惨めだった気持ちが晴れてゆく。
「だから、そんな寂しいことを言うな」
黒ずんだ両手を大倶利伽羅は震える手で包み込み、頬を寄せた。

己を穢れていると卑下する刀と孤独を好む寂しがりな刀の恋物語。