そして、生まれる

- 君嶋

読み終わった後、長い旅を終えたような……そんな充実感と切なさを覚えました。「僕と組まない？」と訊いたラピスを充分すぎるほど理解しているために揺らぎそうになりながらも責務を果たすためにその誘いを断るユークの姿があまりに痛ましく、胸を打ちました。流れるようにバトンタッチするフォスとシンシャの幕では、先代フォスフォフィライトとシンシャの闘いは哀しくもありましたが水銀のダイナミックな描写に瞠目せざるを得ませんでした。その一方、２代目フォスとシンシャのほほえましい場面も好きでした。そして欠片となり混ざり合うようなふたりは、作中で最も穏やかで幸福そうに見えました。
とても素敵な御本をありがとうございました。