虹村形兆は動けない
- 徒花の祈り

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きっと神様なら、殺してくれる──。
虹村形兆、17歳。彼は杜王町に赴く前、ある村に足を踏み入れていた。
その村でマナー違反をした者は大切なものを失い、マナーに成功すれば何かを得る。
彼は不死身の父を殺す手がかりの為に、山の神が与える試練に挑もうとしていた。
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作品について

作品名 虹村形兆は動けない
作家名 久遠晶 年齢区分
発行日 2017/03/20 発行イベント 春コミ 東L23b
作品タグ ジョジョの奇妙な冒険, 虹村形兆, 富豪村, スピンオフ,
紹介URL http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=61893872
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コメント

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藍子
2018/8/24 23:10
 4部の導入において、虹村兄弟というのはなくてはならない存在である。私は1部2部を通してJOJOの世界観を知り、3部を飛ばして4部をアニメで知った。スタンドの概念やキャラクターの立ち回りを知り、3部に至ることになる。結果的に「動かない」シリーズは、ここ最近ようやく手を出した、といっても過言ではないほどの新参である。ちなみに富豪村はアニメも拝聴したが、手に汗を握るとはまさにこのことで、ゆでたトウモロコシを見るたびに思い出すほどである。
 この作品はそんな「富豪村」のスピンオフ本である。名前変換機能までつけてくださっているため、夢本とも呼びたいが、読んだ者からするとそのカテゴリーでは語弊があるかもしれない。登場する夢主、もとい、キャラクターがあまりにも自然に溶け込み過ぎて、スピンオフ作品における「ゲストキャラクター」としての地位にいる。(なので、この作品タグに夢本というタグがないのも納得だ)お陰で、彼女に変に自己投影せず、ひとりのキャラクターとして感情移入しながら読むことが可能で、その設定や立ち位置は、話の流れからして不自然さがない。彼女が同行する理由も、私が形兆ならば同じようにしただろう。誰だってそうする、という具合にだ。
 原作を知っている読者はもうすでに理解しているとは思うが、形兆には何が何でもやり遂げなければならない一つの目的があった。己の利益と、主に対する忠誠心(がある者のほうが少なかったが)悪意を持って主人公たちに立ちはだかった3部の「根っからの悪役」たちとは違い、虹村形兆は「そうならざるを得なかった悪役」である。そんな彼を悪とすると非難されるかもしれない。誰しもがああいう状況になれば同じことをしたのではないか、と。だが結果的に、彼はその力を得たことで、無差別に人を傷つけることになる。そうした時点で、彼はこの世界において悪役となるのである。悲しいがそれが物語における彼の運命と言えるだろう。
 だが、物語が動き始めた後の話、彼にもはや後悔はないのだ。彼はどんなことでもする。たった一つの誓いのために。
 ならば、彼がその運命を選び取ったのは、確実な「何か」を掴んだのはどこなのか……久遠氏の考察は実に的を得ている。是非とも手に取って、形兆が辿ったかもしれない一つの「可能性」に触れて欲しい。重厚なストーリーは確実にジョジョラーの心をつかみ、満足させてくれることだろう。