インスタント・アムネジア
- アロワナを育てる

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■「内省の光」がコンセプトだというのは後書き通り。ただ、私の書き方はカメラが完全に視点人物の認識に依存するので、語り手のアーチャーが通常の状態では衛宮士郎の内省の光なんてものは(その目に映らないので)書けない → だったら記憶を飛ばせばいいじゃない!という力業でできあがったのが本作です。
「ずっと十年~」の当初のコンセプトの一つも「十九歳さんを描く」ではあったのですが、あれは「冬木で何が起きれば倫敦みたいなことになるんだよ」と窮するあまり、不可侵の生前ネタにまで手を出したという代物、ようは前半冬木で刀折れ矢尽き死に体を引き摺って倫敦を書き上げたものです。いや、あの冬木(焦げる夢)は〆切に脅迫されないと確実に挫折する奴だったので本にできたのは良かったのですが、19歳さんをゴリゴリ書ける機会が半端に終わったのは返す返すも口惜しい。
と、いうわけで本作はそのリベンジ、目標は「全編、零点突破の冒頭くらいの勢いで19歳さんを書く」だったんですが、

ごく当然に無理でした。

今にして思えば、あれが40Pくらいのパート延々続いても、読んでて(アーチャーの頭の中が)恐かった気がするので、これでよかったのかもしれません。

■19歳さんのあの雰囲気をどう言い表す悩んで延々エピローグを鑑賞していたところ、羽化したてのセミの羽と連想が繋がった次第。かくしてセミの羽化写真を眺めて唸り続け、それが植物の葉に近似していることに光明を見出し、ひねりだしたのが「葉肉」です。
はたから見たら、何やってんのかほんと謎だったと思います(画面を埋めるセミの羽化)。

何故「葉『肉』」がハマったかといえば「やっぱり可食性ってエロいよね!!」。ただ、表現の方針を可食性で統一するのは手に余ったのがやや心残りです。アーチャー→士郎さんの認識が無自覚にALL食い物、とかやってみたかったんですが、
今にして思えば、実現したらやっぱり読んでて(アーチャーの頭の中が)恐かった気がするのでこれでよかったのかもしれません(二回目)。

■アーチャーによって士郎さんに内省がもたらされ、その内省がまたアーチャーに還り、それがまた、という連環が弓士の大きな魅力と思い、前作でも挑戦したところですが、今回のもその一部。
「ドン・ファンの素養と天然素材の合わせ技な危険物」であるところの19歳さんが、「意地やら見栄やらを張る理由(記憶)をなくしたアーチャー」にそっくりそのまま己の特性を還されて悶絶する話でもあります。
前作で士郎さんから還るものを得たアーチャーの影響が、今度は再び士郎さんに還る、連環の一環です。

■「イギリスの、あの、延々草っぱらで石がごろっとしてるあれ! 嵐が丘って感じのあれ! あれはなんだ!!」とGoogle先生にお伺いして「ありゃムーアというのだよ」という解を得ました。泥炭の湿地だったのですな。ところで、「写真ぐぐるより嵐が丘ちゃんと読めばイメージに不自由しないのでは?」と気付いたのは〆切前日でした(遅い)。
士郎さんが向かった先のモデルの大学の近所には確かにムーアがあるのですが、そこの資料が足りなかった&いまいちピンとこなかったので、書きながら眺めていたのはイギリス国立公園ダートムーアです。シャーロキアンの皆様的には聖地でしょうか。
https://www.google.co.jp/search?q=Dartmoor&espv=2&biw=958&bih=930&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjxxOis6pTRAhUBybwKHdH-DKoQ_AUIBygC
……ところで、あくまで自分の目的は「エミヤ類をそこで動かしても申し訳なくならない、ハリボテに見えない舞台の構築」です。想像だけで構築するような図抜けた頭脳の持ち合わせがなく、現実にあるものをモデルにすればほつれるリスクを一番リーズナブルに低減できて、楽(だから調べる)。よって「現実のそこ」を書くことには関心がなく、具体的な固有名詞は意識的に避けているのですが
……テムズとかは、仕方なかった(テムズだもんなぁ)。

■風呂話は、本来なら未誕で終わったはずのネタです。某方に心より感謝を。
公式(きのこ先生著シナリオブック)で英語の次にイタリア語を学んでいた士郎さんですが、この話で赴いた地域で話が通じているということは、ある程度フランス語も囓ってるんだと思います。あとは頑張って片言の現地語も覚えてる。
また寝落ちかよみたいなラストですが、書き上げて再検討しても「いやこの流れだと士郎さん寝るわ」って結論になったのでどうにもこうにも。

なお、この士郎さんは数度の遠出を経て「隣にアーチャーの気配があるときは安全なので寝てていい」が染みつき始めてるので、基本、濡れた服をひん剥かれようが何されようが「アーチャーが起こす」か「アーチャーが警戒モードに入る」かしない限りは起きません。がんばれアーチャー。

作品情報

【倫敦弓士 その2】

奥付のQRコード以外からいらっしゃった方で、後書きの続きにご興味おありの場合はこちらからどうぞ。

倫敦弓士 その1はこちら

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作品について

作品名 インスタント・アムネジア
作家名 年齢区分
発行日 2016/12/31 発行イベント C91 ピ-13b
作品タグ Fate/staynight, 弓士, 衛宮士郎, アーチャー,
紹介URL http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7617242
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